まくまく投資ノート
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市場で取引されている株式の価格が、実際の企業価値に対して割安かどうかを計る代表的な指標として、PERPBR があります。似たような指標として、財務分析のための ROA、ROE などがありますが、これらは資産規模に対する収益性を判断するための指標であり、株価の要素は含まれていません。実際の市場での価格の妥当性を判断するためには、ここで説明する PER、PBR などが用いられます。

  • 株価の判断 ・・・ PERPBR、配当利回りなど(株価が考慮されている
  • 収益性の判断 ・・・ ROA、ROE、利益率など

PER(株価収益率)= 株価/一株当たり当期純利益

PER は Price Earnings Ratio の略で、時価総額を純利益で割って求められます(あるいは株価を一株あたりの純利益 (EPS) で割ります)。

$$ PER(株価収益率) = \frac{時価総額}{純利益} = \frac{株価}{一株利益(EPS)} $$

例えば、株価が 1200 円のときに、一株利益 (EPS) が 100 円だとすると、PER は 12 倍ということになります。

$$ \frac{株価(1200円)}{一株利益(100円)} \rightarrow PER(12倍) $$

単純に考えると 12 年間の利益で、現在の時価総額と同じだけ稼ぐ力があると判断できます。 PER が上がるということは、利益が変わらないのに株価だけが上がっていることを示しており、株価は割高になっているということです。 PER の平均値は業種によって大きく異なりますが、日本の上場企業全体の平均値としては 14 倍程度とされています。 成長性の期待されている企業は株価が先行して大きく上昇するため、PER が 100 倍を超えることもあります。

一般的に PER は、今期の予想利益を用いて計算されます。 例えば、次の決算が17年3月の場合は、その決算が発表される前の17年1月の段階では、会社やアナリストが予想した純利益が PER 計算時の分母として使われます。 下記は、RIZAP GROUP (2928) の PER(2016年8月26日現在)を示していますが、そこで「予想PER」と表示されているのはそのためです。

/p/ykf3exd/price-per.png

この時点で、時価総額が 1,176 億円、17年3月の純利益予想は 60 億円なので、1,176億円 / 60億円 = 19.6 倍 (PER) という計算になります。 最終赤字になると、予想 PER は算出できなくなります。

PBR(株価純資産倍率)= 株価/一株あたり純資産

PBR は Price Book-value Ratio の略で、時価総額を純資産で割って求められます。 PBR が1倍であるということは、会社の解散価値と時価総額が等しいことを示しています。 1倍を下回っている場合は、株価が純資産に比べて安いため、割安と判断されます。

PBR は、前回の決算における貸借対照表で示された純資産価値を用いて計算されます。 この点において、次回決算の予想利益を用いて計算する PER とは大きく異なっていると言えます。 下記は、RIZAP GROUP (2928) の PBR(2016年8月26日現在)を示していますが、PBR が「実績」と表示されているのは、前回の決算の実績を用いて計算されていることを示しています。

/p/ykf3exd/price-pbr.png

この時点で、時価総額が 1,176 億円、自己資本が 116億円 なので、1,176億円 / 116億円 = 10.13倍 (PBR) という計算になります。 PBR の 10.13 倍という値だけを見ると、資産価値に対して、株価がものすごく高くなっているように見えます。 しかし、規模が急拡大しているような企業では、一般的に純資産も年々増えていくため、PBR は決算の度に大きく減少していきます。 投資家はそれを見越して株を購入するため、PBR は一時的に大きくなる傾向があります。 実際に、上記の RIZAP GROUP (2928) は PBR は 10 倍を超えているのですが、理論株価は 2000 円程度に設定している機関が多く、割高どころか割安と考えられています。

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