ファイナンシャルプランナーにできること
- 税務代理、税務相談はダメ(税理士ではない)
- 有価証券の価値に関する助言はダメ(金融商品取引業者ではない)
- 法律問題の業務を行ってはダメ(弁護士ではない)
- 保険の募集や勧誘はダメ(保険募集人ではない)
- 宅地・建物の貸借の媒介はダメ(宅地建物取引業の免許が必用)
- 保険設定の目安として必要保障額を試算するのは OK
- 公正証書遺言の証人になるのは OK(FP じゃなくても OK)
ライフイベント表/キャッシュフロー表/個人バランスシート
- キャッシュフロー表の収入金額は可処分所得を記入
- 可処分所得: 年収から所得税、住民税、社会保険料を控除した額(天引きの貯蓄や、保険料は引かない)(保険料は支出の欄に記入するため)
- 1 年以内に支払いが発生する家賃や教育費はキャッシュフロー表に記載(バランスシートには計上しない)
- 株式、土地は個人バランスシートに時価で計上
試算用の各種係数
- 将来の合計額を求めたい(終価)
- 元本 x 終価係数 → 受け取る合計額
- 毎年の積立額 x 年金終価係数 → 受け取る合計額
- 必用な元本を求めたい(現価)
- 目標額 x 現価係数 → 元本
- 毎年受け取りたい額 x 年金現価係数 → 元本
- 毎年いくら払えばよいか求めたい
- 目標額 x 減債基金係数 → 毎年払う額(積立額)「貯蓄を積み増していくので利子が大幅に増えていく」
- 借入額 x 資本回収係数 → 毎年払う額(返済額)、あるいは既存の貯蓄を毎年いくらずつ取り崩していけるか「貯蓄を取り崩していくので利子が大幅に減っていく」
社会保険(必ず加入する公的な保険)
「医療」に関する社会保険
「医療」に関する社会保険には健康保険(会社員)と国民健康保険(自営業者)があり、日本ではどちらかに入る必用がある。
- 健康保険(会社員)
- 会社の役員や従業員が被保険者として加入。被保険者の収入に依存する家族は被扶養者となる
- 保険料は保険者によって異なる。全国健康保険協会の場合は、事業主と従業員で 1/2 ずつで、保険料率が都道府県ごとに異なる。健康保険組合の場合は、規約で負担割合が定められる。
- 疾病手当金: 仕事休んで 4 日目以降から 1 年 6 ヶ月間、標準報酬の 2/3 相当額が支給される。労災保険の休業給付と違い、業務外の負傷も対象
- 会社をやめた場合は、任意継続被保険者となって 2 年間だけ健康保険を継続するか、国民健康保険に切り替える
- 任意継続被保険者制度: 2 ヵ月以上健康保険に加入しており、20 日以内に申出すれば、2 年間健康保険を継続可能。ただし、保険料は国民健康保険と同様に全額負担になる。
- 国民健康保険(自営業者)
- 国民健康保険は全員が被保険者で、被扶養者という区分はない。
- 保険料は全額負担で、市区町村ごとに異なる
- 業務上の負傷は、労災保険の給付がないときのみ給付。
- 被扶養者制度はない(健康保険にはある)
- 疾病手当金は出ない(健康保険にはある)
- 出産手当金は出ない(健康保険にはある)
- 健康保険と国民健康保険で共通
- 入院時の食事代/差額ベッド代は高額療養費の対象外
- 人間ドックの検査は健康保険の対象外
- 医療費は 3 割負担。小学校入学前は 2 割。70 歳以上 75 歳未満は条件による(H26.3 以前に70歳なら 1 割、H26.4 以降に70歳なら2 割、現役並み所得者なら 3 割)。75 歳以上は後期高齢者医療制度に加入することになるので 1 割 となる。
- 後期高齢者医療制度
- 75 歳以上はこれに加入(障害認定者は 65 歳以上で加入)
- 被扶養者制度はない(国民健康保険と同様)
- 保険料は都道府県ごとに異なる(健康保険と同様)
- 医療費の自己負担は 1 割(現役並み所得者は 3 割)
「介護」に関する社会保険
「介護」に関する社会保険は介護保険のみ(全員)
- 介護保険(会社員&自営業とも)
- 第 1 号被保険者: 65 歳以上
- 第 2 号被保険者: 40 歳以上 65 歳未満(特定疾病の場合のみ。初老期認知症、脳血管疾患、末期がんなど)
- 介護サービス費の自己負担はいずれも 1 割負担だが、H27.8 からは所得 160 万円以上は 2 割負担に引き上げ
- 介護給付には市町村の認定が必用
- 居宅介護サービス計画(ケアプラン)は被保険者本人が作成することもできる
- 居宅介護住宅改修費の支給は改修費の 9 割(20 万円まで)
「労災」に関する社会保険
「労災」に関する社会保険には労災保険(会社員)と特別加入の労災保険(自営業)がある
- 労災保険(会社員)
- 労災の保険者は政府
- 保険料は事業主が全額負担。保険率は業種によって異なる
- 中小企業の事業主は加入できない → 特別加入制度あり
- 海外の事業所に派遣された従業員は加入できない → 特別加入制度あり
- 休業給付: 業務上のケガや病気などによる休業 4 日目から給付基礎日額の 60% 相当額を支給(健康保険の疾病手当金と比較)
- 疾病年金: 療養 1 年 6 ヵ月経過後に治らず、疾病等級 1 級から 3 級の場合に支給
- 遺族給付: 生計を維持されていた配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹が対象
- 遺族補償年金の支給額は生計を同じくする人数により変わる
- 特別加入の労災保険(自営業)
- 事業主は労働者が一定数以下なら労災に特別加入できる
「雇用」に関する社会保険
「雇用」に関する社会保険は雇用保険(会社員)のみ
- 雇用保険(会社員)
- 保険者は労災保険と同じく政府(ハローワーク)
- 役員や事業主、およびその家族は加入できない
- 保険料は事業主と労働者で負担。保険率は業種により異なる
- 基本となるのは求職者給付(失業保険)の基本手当
- 基本手当の給付要件: 自己都合の失業 → 離職前 2 年間に通算 12 ヵ月以上の被保険者期間
- 基本手当の給付要件: 会社都合の失業 → 離職前 1 年間に通算 6 ヵ月以上の被保険者期間
- 基本手当の給付日数: 自己都合の失業 → 90 日〜 150 日(一般離職者)
- 基本手当の給付日数: 会社都合の失業 → 90 日〜 330 日(特定受給資格者)
- 給付日数は、年齢、被保険者期間、離職理由などで決まる
- 基本手当を受給中に出産か疾病で 30 日以上離職する場合は 4 年間延長できる
- 高年齢再就職給付金: 雇用保険の基本手当を受給後に再就職した場合に支給。
- 高年齢再就職給付金: 賃金の額に乗じる率は最大 15%
- 高年齢雇用継続基本給付金: 算定基礎期間が 5 年以上が要件の 1 つ
- 高年齢雇用継続基本給付金: 支給対象は 60 歳到達月〜 65 歳到達月
「年金」に関する社会保険
「年金」に関する社会保険には国民年金(全員)、厚生年金保険(会社員、公務員)がある。年金の支払い日は偶数月。
- 国民年金(被扶養者や自営業者を含む全員)
- 20 歳以上 60 歳未満の国内に住所を持つ国民全員が加入
- 20 歳以上 65 歳未満で日本国籍を持てば任意加入できる(国外居住可)
- 第 1 号被保険者: 第 2 号、第 3 号のいずれにも属さない人(自営業、大学生など)
- 第 2 号被保険者: 会社員、公務員(=厚生年金にも加入している人)
- 第 3 号被保険者: 第 2 号被保険者の被扶養配偶者(20 歳以上 60 歳未満という条件は変わらず)
- 保険料を直接払うのは第 1 号被保険者のみ(第 2 号、第 3 号の保険料は厚生年金保険から拠出される)
- 第 1 号の保険料は定額で、H29 年度以降は月額 1 万 6900 円
- 学生納付特例制度、若年者納付猶予制度を使ったあと追納しなくても、老齢基礎年金の受給資格期間には参入される(ただし額には反映されない)
- 保険料の免除と猶予:
- 第 1 号被保険者で障害基礎年金または障害等級 1 級、2 級の障害厚生年金を受給しているものは法定免除で全額免除
- 第 1 号被保険者は世帯主 or 配偶者の所得により、法定免除は全額、申請免除は全額、3/4、1/2、1/4のいずれかが免除される
- 第 1 号被保険者の学生は学生本人の所得が一定以下であれば学生納付特例制度で猶予できる
- 第 1 号被保険者で学生以外の 30 歳未満の場合は若年者納付猶予制度で猶予できる(本人と配偶者の年収は考慮されるが、世帯主や親の年収は不問)
- 学生納付特例制度、若年者納付猶予制度により猶予した場合の追納は 10 年以内
- 老齢基礎年金として受給
- 受給要件: 65歳 に達していること
- 受給要件: 受給資格期間(納付済期間+免除期間+合算対象期間)が 25 年以上あること
- 合算対象期間の分は、年金額の計算には反映されない
- 付加年金: 第 1 号被保険者が毎月+400 円払うと、毎月 200 円x払った月数が追加でもらえる
- 繰上げ受給: 65 歳からではなく、60 歳まで早めることが可能
- 繰下げ受給: 65 歳からではなく、70 歳まで遅らせることが可能
- 老齢基礎年金と老齢厚生年金の繰下げは別々に申出できるが、繰上げは同時に申出が必用
- 障害基礎年金として受給
- 受給要件: 初診日に国民年金の被保険者
- 受給要件: 障害認定日(障害固定日 or 初診日から 1 年 6 ヵ月)に障害等級 1 級か 2 級
- 受給要件: 保険料 2/3 以上払っている
- 年金額(1 級): 780,100 円x1.25 + 子の加算
- 年金額(2 級): 780,100 円 + 子の加算
- 遺族基礎年金として受給
- 受給要件: 国民年金の被保険者 or 老齢基礎年金の受給者
- 受給できる遺族: 子を持つ配偶者 or 子(子は 18 歳以下 or 2 級までの障害状態)
- 年金額: 780,100 円+子の加算(1 人 224,500 円、3 人目以降 74,800 円)
- 寡婦年金/死亡一時金: 第 1 号被保険者の夫が死亡した場合、10 年以上の婚姻期間があり、夫が基礎老齢年金も障害基礎年金も受給していないときに、妻は 60 歳から 65 歳到達まで寡婦年金を受け取るか、死亡一時金を選択して受給
- 厚生年金保険(会社員、公務員)
- 国民年金の第 2 号被保険者(会社員、公務員)が、国民年金に上乗せする形で加入する(例: 老齢基礎年金と老齢厚生年金を合わせてもらえるようになる)
- 適用事務所で働く70 歳未満の人が強制加入(60 歳から老齢厚生年金を受給し初めても 70 歳以降は保険料の負担がなくなる)
- 公務員は従来は共済組合に加入していたが、H27.10 以降は厚生年金保険に統一
- 個人事業主でも 5 人以上の従業員がいる事業所は厚生年金保険が強制適用
- 保険料:
- 総報酬制: 年間の総報酬をもとに保険料が決まる
- 毎年引き上げられ、H29.9 からは 18.30% で固定
- 育児休業中は子供が 3 歳まで被保険者、事業主ともに免除
- 老齢厚生年金として受給
- 老齢厚生年金は 60 歳から受給
- 60 〜 64 歳: 特別支給の老齢厚生年金
- 被保険者期間が 1 年以上必用
- 報酬比例部分+定額部分+加給金額
- 65 歳からは報酬比例部分は老齢厚生年金に切替わる。定額部分は基礎老齢年金に切替わる
- 65 歳〜: 通常の老齢厚生年金
- 被保険者期間は 1 ヵ月以上あればよい
- 経過的加算: 特別支給の老齢年金の定額部分が、65 歳になって基礎老齢年金に切替わった時に減額してしまう場合の補助。
- 加給年金: 被保険者期間が 20 年以上ある場合、65 歳未満の配偶者、18 歳以下の子がいると加給年金が加算される。金額は一定だが受給者の生年月日により加算がある。妻が 65 歳になると、配偶者の加給年金は打ち切られるが、老齢基礎年金の方に振替加算が加算される(老齢基礎年金の受給者の生年月日に応じて金額が決まる)。老齢基礎年金の方には配偶者加給年金はない。
- 在職老齢年金: 60 歳以降も在職中だと老齢年金が減額(月額 47 万円を超えると在職支給停止)
- 障害厚生年金として受給
- 受給要件: 初診日に厚生年金保険の被保険者
- 受給要件: 障害認定日に障害等級 1 級か 2 級か 3 級(障害基礎年金では 3 級は認められない)
- 年金額(1 級): 報酬比例の年金額x1.25 + 配偶者加算
- 年金額(2 級): 報酬比例の年金額 + 配偶者加算
- 年金額(3 級): 報酬比例の年金額(最低保障あり)
- 厚生年金保険の被保険者期間は最低 300 ヵ月として計算
- 障害等級 3 級より軽度の障害が残った場合は障害手当金
- 遺族厚生年金として受給
- 受給可能遺族: 配偶者・子・孫・父母・祖父母(子のいない 30 歳未満の妻は 5 年間だけ給付。子・孫は 18 歳以下の間。父母・祖父母は死亡時に 55 歳以上で支給開始は 60 歳)
- 年金額: 報酬比例の年金額の 3/4(厚生年金保険の被保険者期間は最低 300 ヵ月で計算)
- 中高齢寡婦加算: 夫死亡時に 40 歳以上で子供のいない寡婦に対して、40 歳から 65 歳に到達するまで遺族厚生年金に加算
その他
- 出産育児一時金は 1 児につき 42 万円。
私的年金
公的年金(国民年金や厚生年金)ではない私的年金には、企業年金や個人年金がある
- 企業年金
- 確定給付型: 決まった給付額のために積立
- 厚生年金基金: 厚生年金保険の老齢厚生年金の一部を国に代わって運営
- 確定給付企業年金(規約型): 規約に基いて年金資産を運用
- 確定給付企業年金(基金型): 別の年金基金を設立して運用
- 確定拠出型: 運用によって給付額が増減
- 10 年以上掛け金を積み立て、60 歳以降年金を受給
- 公務員と第 3 号被保険者は加入できない
- 企業型の確定拠出年金: 月毎の給付額は 27,500 円 or 55,000 円が限度
- 個人型の確定拠出年金: 月毎の給付額は 23,000 円 or 68,000 円が限度
- 老齢給付金は加入者期間が 10 年以上の人が 60 歳から受給
- 確定給付型: 決まった給付額のために積立
- 個人年金
- 小規模企業共済
- 小規模企業の役員や個人事業主が加入可能
- 加入後に掛け金の増額/減額が可能
- 掛け金の全額が小規模共済等掛金控除の対象
- 中退共(中小企業退職金共済)
- 新規加入の事業者は 4 ヶ月目から 1 年間、国から 1/2 の掛金の助成
- 事業主と生計を共にする親族でも、使用従属関係等の確認のための書類を提出すれば中退共に加入可
- 退職金は、一括、分割、それらの組み合わせで受け取れる
- 退職後 2 年以内に再度被共催者となったら掛金納付月数を通算可
- 国民年金基金
- 自営業者(国民年金の第 1 号被保険者)が加入可能
- H25.4 以降は国民年金の任意加入者(60 歳以上 65 歳未満)も加入可能
住宅取得資金/住宅ローン
- 自己資金は 20〜30% あることが望ましい
- 固定金利選択型: 一定期間は固定金利で、その後は変動金利か固定金利を選択可能なローン
- 返済方法
- 元利均等返済: 返済額がずっと一緒。最初は元金の支払い部分が少なく、合計返済額は多い。
- 元金均等返済: 元金を同じ額だけ返済し続ける。最初は返済額が多いが、合計返済額は少ない。
- 公的住宅ローンと民間住宅ローン
- 財形住宅融資(公的)
- 条件: 財形貯蓄 1 年以上で残高 50 万円以上
- 金利: 変動金利(5 年ごとに見直し)
- 限度額: 購入価格の 90% 以内。4000 万円まで。財形貯蓄の 10 倍 以内。
- フラット 35
- 条件: 保証人/保証料は不要
- 金利: 固定金利(金融期間が定める)
- 限度額: 購入価格の 100% 以内。8000 万円まで。1 億円以下の物件のみ。
- 返済: 最長 35 年(70 歳までに申込。80 歳までに完済)
- 財形住宅融資(公的)
- 借換えと繰上げ返済
- 融資条件を満たせば借換え先の住宅ローンとしてフラット35を利用可
- 別の銀行の住宅ローンに借換えると抵当権設定のための登録免許税等の費用がかかる
- 繰上げ返済する場合、返済額軽減型より返済期間短縮型の方が軽減効果が高い
教育資金/教育ローン
- 教育ローン
- 国の教育一般貸付(日本政策金融公庫)
- 条件: 成績要件なし、年収制限あり
- 金利: 固定金利
- 限度額: 子供一人 350 万円(H26年4月〜)、以前は 300 万円まで
- 返済: 15 年以内
- 奨学金(独立行政法人日本学生支援機構)
- 条件: 成績用件あり(第一種の方が厳しい)、年収制限あり
- 金利: 第一種奨学金は無利息、第二種奨学金は利息あり(在学中は無利息)
- 教育一般貸付と奨学金は重複して利用可
- 国の教育一般貸付(日本政策金融公庫)