まくまく投資ノート

財務諸表のひとつであるキャッシュフロー計算書は、その名の通り、現金の流れを示したものです。 損益計算書と同様、ある期間内の活動内容が示されます。 損益計算書の記載には主観が入りやすいという不安定要素がありますが、このキャッシュフロー計算書には現金の流れが素直に現れてくるため、企業の財務体質を読み解いていく際に、最初に見ておきたいところです。

キャッシュフローは、下記の 3 種類に分けて表記され、それぞれの活動においてのキャッシュの増減が示されます。 ある活動にお金を使用してキャッシュが出て行ったことを示す場合は、マイナスを示す △ 記号が付けられます(例: △120)。

  • 営業活動によるキャッシュフロー
  • 投資活動によるキャッシュフロー
  • 財務活動によるキャッシュフロー

営業キャッシュフロー

営業キャッシュフローは、本業でどれだけのキャッシュを稼いでいるかを示します。 つまり、プラスであればあるほどよいものです。 営業キャッシュフローが毎年コンスタントに増加している企業は、事業が順調に成長していることを示しており、投資先の候補として考えられます。

ただし、純利益が営業キャッシュフローを上回っているような場合は、何か特殊なことをしている可能性があるため注意が必要です。 必ず、毎年の純利益と照らし合わせて確認するようにしましょう。

投資キャッシュフロー

投資キャッシュフローの欄には、設備の増強のために使った資金や、他社を買収するための M&A 資金が示されます。 将来のために投資しているわけですから、投資キャッシュフローは通常マイナスになりますが、設備や有価証券などの資産を売却することによってプラスになることもあります。 順調に成長している企業は、投資キャッシュフローがマイナスで、営業キャッシュフローはプラスになっています。

問題は投資キャッシュフローの大きさですが、営業キャッシュフローのプラスの範囲内で投資をしているのであれば、成長に見合った投資をしていると捉えることができます。 営業キャッシュフローのプラスに比べて、投資キャッシュフローのマイナスが極端に多い場合は、将来のために何らかの勝負をかけているタイミングだということが分かります。

投資キャッシュフローには、M&A のための資金も含まれることに注意してください。 企業が成長しきって、それ以上の成長が見込めない場合、M&A を行うことで利益を伸ばそうとすることがあります。 M&A がよいか悪いかは一概に言えませんが、その企業自信が成長するための設備投資などとは性質が異なることに注意しましょう。 投資キャッシュフローを見るときは、自社の投資のために使用した資金なのか、他社を買収するために使用した資金なのかを把握しておく必要があります。

有価証券の売買によるキャッシュの流れも投資キャッシュフローに含まれます。 株を購入すれば投資キャッシュフローはマイナス、株を売却すれば投資キャッシュフローはプラスになります。

財務キャッシュフロー

財務キャッシュフローには、借金の返済や、株主への配当金の支払いなどによるキャッシュの増減が示されます。 最初はちょっと戸惑うかもしれませんが、借金をすると財務キャッシュフローはプラスになります(借りた分だけキャッシュが入ってくるため)。 借金を返済すると、財務キャッシュフローはマイナスになります。

投資キャッシュフローと財務キャッシュフローのマイナスが、営業キャッシュフローによるプラスの範囲内に収まっている場合は、健全な財務活動が行えていると言えます。

健全なキャッシュフローの例
営業キャッシュフロー100
投資キャッシュフロー△50
財務キャッシュフロー△35

逆に、営業キャッシュフローのプラスが小さいのにもかかわらず大きな投資を行っている場合は、借金をして投資を行っていることになります。 その投資が、借金に見合うだけの価値があるのか、見極めが重要になってきます。

要注意なキャッシュフローの例
営業キャッシュフロー10
投資キャッシュフロー△50
財務キャッシュフロー40

増資や、社債の発行により集めたお金も、財務キャッシュフローのプラスとして計算します。

現金及び現金同等物の増減額

上記 3 つのキャッシュフローを足し引きしてプラスが残った場合は、企業の蓄えとして現金が増えたということになります。逆に、3 つのキャッシュフローの合計がマイナスの場合は、現金が減ったということになります。 企業の蓄えとしての現金の増減は、現金及び現金同等物の増減額という項目として表示されます。 つまりこういうことです。

営業CF + 投資CF + 財務CF = 現金及び現金同等物の増減額

将来のためにある程度の内部留保は重要ですが、単純に現金を持っているだけでは企業の成長には直結しません。 投資家の要望に答えるために、投資活動に資金をまわしたり、配当などによって株主還元を行うことになります。

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