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雇用保険とは

雇用保険は、働く意思と能力がある人が何らかの理由(離職、育児、介護)によって働けない場合や、高齢になって給料が減ってしまった場合の生活保障制度です。 労働者を 1 人でも雇っている事業主は、雇用保険に加入する義務があります。 雇用保険には、企業の被用者となる会社員が加入します。 自営業者や、無職の人は加入対象となりません。

社会保険の種類加入する人
雇用保険パート、アルバイトを含む労働者(役員を除く
なし自営業者(地域住民、無職の人)

健康保険と同様に、会社員は雇用保険に加入することになりますが、役員や事業主、およびその家族は加入できないことに注意してください。 また、パートやアルバイトを含む労働者が加入者になりますが、原則として一週間の労働時間が 20 時間以上あることが条件です。

雇用保険の保険者(保険の提供側)は、労災保険と同じく、政府となります。 窓口は公共職業安定所(ハローワーク)です。 保険料は事業主と労働者で負担しますが、事業主の負担が多くなっています。 また、保険料率は業種により異なります(建設業などは保険料率が高い)。

雇用保険による給付には、下記のようなものがあります。

  • 失業中・休業中の給付
    • 失業等給付(失業中の基本手当)
    • 介護休業給付(家族の介護のための休業)
    • 育児休業給付(1 歳未満の子の育児のための休業)
  • その他
    • 教育訓練給付(厚生労働大臣が指定する講座を受講したとき)
    • 高年齢雇用継続給付(60 歳以上で給料が減少したとき、あるいは再就職したとき)

失業等給付(基本手当)

労働の意思、および能力があるのに職業に就くことができないという失業の状態にあるときに、雇用保険から基本手当が支給されます。 雇用保険の基本となっているのはこの失業等給付による基本手当で、一般的に失業保険と呼ばれているものです。

基本手当の給付要件

失業等給付による基本手当を受け取るには、65 歳未満の労働者であり、かつ、下記の被保険者期間がある必要があります。

  • 自己都合の失業(一般離職者): 離職前 2 年間に通算 12 ヵ月以上の被保険者期間があること
  • 会社都合の失業(特定受給資格者): 離職前 1 年間に通算 6 ヵ月以上の被保険者期間があること

65 歳未満で特別支給の老齢年金の受給権を持っている人は、この基本手当を受給すると、特別支給の老齢年金の支払いは停止されます(雇用保険による基本手当が優先される)。

基本手当の給付日数

基本手当の給付を受けられる期間は、原則として離職日の翌日から起算して 1 年間です。 ただし、退職後 7 日間は待機期間として給付を受けられません。 さらに、自己都合の退職の場合や、重大な過失により解雇された場合は、公共職業安定所長の定める期間**(最長 3 ヶ月間)の支給制限**があります。

実際に給付を受けられる日数は、年齢、被保険者期間、離職理由などによって下記のように変化します。

  • 自己都合の失業(一般離職者): 90〜150 日
  • 会社都合の失業(特定受給資格者): 90〜330 日

基本手当を受給中に出産か疾病で引き続き 30 日以上離職する場合は、給付日数を最長 4 年間延長することができます。

基本手当の給付額

基本手当の給付額は、退職前の最後の 6 ヶ月間の賃金の総額を 180 で割った値に、年齢に応じた一定の比率をかけて求められます。 つまり、最後の 6 ヶ月間の平均日給をもとに計算されるということです。 ボーナスは計算に入れません。

1日分の基本手当 = 最後の6ヶ月の平均日給 x 年齢による給付率(45〜80%)

再就職手当

基本手当の受給日数を 1/3 以上残して再就職した場合は、再就職手当を受け取れます。

育児休業給付

1 歳未満の子の育児のために休業している間、休業前賃金の 50% 相当額が支給されます(6 ヶ月間は 67% 相当額が支給されます)。 休業開始前の 2 年間に通算 12 ヶ月の被保険者期間があることが条件です。 育児休業中は健康保険料と厚生年金保険料は、事業主、被保険者ともに免除されます。

介護休業給付

家族を介護するために休業している間に、休業前賃金の 40% 相当額最長 93 日間支給されます。 育児休業給付と同じく、休業開始前の 2 年間に通算 12 ヶ月の被保険者期間があることが条件です。

教育訓練給付

労働者が自分で費用を負担して、厚生労働大臣が指定する講座を受講して修了した場合、その費用の一部が支給されます。

  • 一般教育訓練の給付金
    雇用保険の被保険者期間が 3 年以上(初回の受給は 1 年以上)あることが条件。 10 万円を上限とし、受講費用の 20% が支給される。
  • 専門実践教育訓練の給付金
    雇用保険の被保険者期間が 10 年以上(初回の受給は 2 年以上)あることが条件。 32 万円を上限とし、受講費用の 40% が支給される。 一般教育訓練に比べ、より専門的かつ実践的な教育訓練が対象。 資格を取得し、再就職につながった場合は 20% の支給が上乗せされる。 さらに、45 歳未満の人で、この給付金の受給資格を持つ人は、教育訓練支援給付金として、教育訓練期間中に雇用保険の基本手当の半額相当が支給される。

高年齢雇用継続給付

  • 高年齢雇用継続基本給付金
    60 歳以上の高齢になり、給与が減少してしまった場合に支給されます。 被保険者期間が 5 年以上あることが条件です。 60 歳到達月から 65 歳到達月までの賃金がこれまでの 75% 未満に減少した場合に、新しい賃金の 15% を上限に支給されます。 65 歳からは公的年金の支給が始まるため、雇用保険によるこの給付はなくなります。
  • 高年齢再就職給付金
    雇用保険の基本手当を受給後、受給日数を 100 日以上残して再就職した場合に支給が開始されます。 高年齢雇用継続基本給付金と同様に、被保険者期間(算定基礎期間)が 5 年以上あることが条件です。 60 歳到達月から 65 歳到達月まで、新しい賃金の 15% を上限に支給されます。

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