低金利下でも安定して資産を増やすための「究極の分散投資」について紹介されています。 投資に分散が必要な理由としては、例えば次のようなことが挙げられています。
- 金利の低下には限度があるので、債券価格は上がりにくくなっている → 株価が下がっても債券価格があまり上がらないということは、株と債券だけでは十分な分散が図れない ということ。
- グローバルな主要銘柄ばかりでは分散効果は得られない。株では、中小株にも目を向ける。なぜなら、国内が主戦場の非グローバル企業は、世界の動向から影響を受けにくい から。
- 長期的に見れば、新興国は外せない。
- 債権も投資先を分散する必要がある。投資適格社債 や ハイ・イールド債 など。ハイ・イールド債は景気回復の局面で安定 した利益を上げやすい。
- 金は外国株式や債券との価格連動性も低い。ドル安時(円高時)に金価格は上昇しやすい傾向がある。
これらを踏まえて、著者は次のような分散比率での投資例を示しています。 具体的な ETF の例も書かれており、このように構成すると、信託報酬(エクスペンスレシオ)の加重平均を 0.17% という低コストに抑えられます。
- 成長資産(グローバル株式) 70%
- 日本株、先進国株、新興国株、中小型株
- VT: バンガード・トータル・ワールド・ストックETF(ザ・バンガード・グループ・インク)
- 日本株、先進国株、新興国株、中小型株
- インカム資産 20%
- ハイ・イールド債権
- JNK: SPDRバークレイズ・ハイ・イールド債権ETF(SSgAファンズ・マネジメント・インク)
- 新興国債権
- VWOB: バンガード・米ドル建て新興国政府債権ETF(ザ・バンガード・グループ・インク)
- 先進国債権(米国以外)
- BNDX: バンガード・トータル・インターナショナル債権ETF(米ドルヘッジアリ)(ザ・バンガード・グループ・インク)
- 米国債券(社債、モーゲージ債含む)
- BND: バンガード・米国トータル債券市場ETF(ザ・バンガード・グループ・インク)
- ハイ・イールド債権
- インフレヘッジ資産 10%
- 金
- IAU: 金ETF「iシェアーズ・ゴールド・トラスト」
- 金
書籍には、ETF ではなく、投資信託で同様に組む例も示されています。
その他メモ
- マイナス金利下では、資産運用は「増やすため」だけでなく、「守るため」の手段としての重要性が増している。
- 量的緩和の方が、金融緩和より直接的。
- 量的緩和 … 中央銀行が通貨供給量を増やす
- 金融緩和 … 中央銀行が金利を下げる
- 商品先物指数 は、景気先行指数である。景気が上向けば、商品の取引が活性化して価格が上がるから。
- 商品価格の動向は、消費者物価指数 に直結する。この指数は景気が回復すれば上がるものだが、日本での伸び率は目標の 2% に遠く及ばない。
- GDP を見られるサイト → OECD.Stat
- 2015年は マクロ経済スライド の発動により、年金受給額が目減りした。マクロ経済スライドは、将来世代の負担増を防ぐため、物価や賃金の上昇率よりも年金受給額のの上昇を抑える仕組みと導入されている。
- 信託報酬について
- 一般の投信の場合 … 「受託銀行」「販売会社」「運用会社」で分ける。「販売会社」の取り分が多い。
- ETF の場合 … 上場されているので、信託報酬を取る 「販売会社」が存在しない。それで低コストになる。