保険いろいろ
- 保険は大きく分けて「生命保険(第一分野)」「損害保険(第二分野)」「第三分野の保険」
- ソルベンシー・マージン比率(保険会社の支払い余力)は 200% 以上が健全
- 保険契約者保護機構(保険会社の経営破綻)
- 「生命保険」契約者保護機構: 責任準備金の 90% 補償(生命保険、医療保険、個人年金保険など)
- 「損害保険」契約者保護機構: 自賠責と地震は 100% 補償、医療関連は 90% 補償、自動車と火災は 80%(破綻後 3 ヶ月以内は 100%) 補償
- 国内で事業を行う保険会社は国外に本社があっても保険契約者保護機構に加入必須
- 少額短期保険(共済などによる)は保険契約者保護の対象でない
- 救済保険会社に対して資金援助などを行う
- 契約者が法人であっても保護の対象
- クーリングオフ
- クーリングオフは「申込日」あるいは「書面を受け取った日」の遅い方から 8 日以内に行う。
- クーリングオフは書面で行う。
- 保険期間が 1 年以内の保険はクーリングオフできない
- 自賠責保険などの強制保険はクーリングオフできない
- 保険法
- 生命保険契約、損害保険契約、傷害疾病定額保険契約に関する規定
- 共済契約も提供対象
- 支払時期を規定
- 同法の規定よりも不利な約款は無効
生命保険(第一分野の保険)
保険料と配当金
- 保険料(= 純保険料 + 付加保険料)は 3 つの予定基礎率により決まる
- 純保険料: 予定死亡率と予定利率により決まる
- 付加保険料: 予定事業費率により決まる
- 剰余金(= 死差益 + 利差益 + 費差益)は配当金として還元(有配当保険のみ)
- 責任開始日は「申し込み」「告知(審査)」「第一回保険料の払込」のすべてが完了した日
- 生命保険の払込方法は「月払い」「半年払い」「年払い」「一時払い」
- 保険料払込猶予期間: 翌月の初日から月末まで
- 失効した保険契約を復活したとき、保険料率は失効前と同じ
- 払込みが困難なときの手段
- 自動振替貸付: 解約返戻金から立て替え。貸付けなので利息あり
- 払済保険への変更: 保険期間はそのままで受け取る保障額を減らす
- 延長保険(定期保険)への変更: 保障額は減らさず保険期間を短くする(定期保険にする)
- 払済保険や延長保険に変更すると特約は消滅
- 契約転換(下取りして別の保険に買い換え)時は保険料を再計算
保障重視の生命保険
- 定期保険
- 満期保険金なし/解約返戻金なし
- 平準定期保険: 保険金額が契約満了時まで不変
- 逓増定期保険: 保険金額が上がる(支払う保険料は同じ)
- 逓減定期保険: 保険金額が下がる(支払う保険料は同じ)。子供が幼い時の候補
- 終身保険
- 満期保険金なし/解約返戻金あり
- 低解約返戻金型の終身保険
- 一定期間だけ解約返戻金が下がる代わりに、保険料が割安
- 定期保険特約付の終身保険
- 終身保険(主契約)+定期保険(特約)
- 全期型: 終身保険の払込満了までが特約の保険期間
- 更新型: 一定期間ごとに特約を更新
- 終身保険の死亡保険金は「みなし相続財産」として、相続税の課税対象となるが、「500万円×法定相続人数」を非課税にできる。つまり、終身保険で相続税の納税資金を準備できる。
貯蓄性重視の生命保険
- 養老保険
- 満期保険金あり
- 満期保険金は死亡・高度傷害保険金と同額受け取れる
- こども保険
- 満期保険金あり
- 入学時などに祝金
- 親が死んでも保険金は契約通りもらえる(保険料は免除される)
その他の生命保険
- 利率変動型積立終身保険(アカウント型保険)
- 死亡保障や医療保障の保険金を払いつつ一部を一時金として積立て
- 払込満了後に積立金をもとに終身保険や年金を購入
- 積立金は一定の範囲内で自由に引き出せる
- 変額保険(リスク大)
- 運用によって保険金や解約返戻金が増減
- 死亡時や高度障害時は最低保証がある
- 解約返戻金には最低保障はない
- 有期型と終身型がある
- 個人年金(老後のため)
- 有期年金: 支払期間中で、かつ生存中のみ年金が支払われる
- 確定年金: 支払期間中は死んでも年金が支払われる(遺族に渡される)。10 年確定年金など
- 終身年金: 生きている限り年金が支払われる。保証期間付終身年金は、死亡した場合残りの保証期間に対応する年金または一時金が支払われる。一時払定額個人年金(終身型)の保険料は女性の方が高い(長生きするから)
- 夫婦年金: 夫婦のどちらかが生きている限り年金が支払われる
- 生存給付金付定期保険
- 一定期間ごとに生存給付金を受け取れる定期保険
- 死亡した時は生存給付金の受け取りに関わらず死亡保険金を受け取れる
損害保険(第二分野の保険)
- 保険価額と保険金額
- 保険金額は保険価額(最高見積額)を上限とした実損額
- 全部保険: 保険金額 = 保険価額
- 一部保険: 保険金額 < 保険価額
- 超過保険: 保険金額 > 保険価額(加入者の儲けが出る)
- 住宅火災保険(火災、落雷、爆発、雪災)
- 建物と家財が対象(消火費用、臨時費用、片付け費用も出る)
- 火災保険は自動車は補償対象外
- 火災保険で30万円を超える家財を補償対象とする場合、明記が必要
- 積立火災保険の満期返戻金は一時所得とみなされる
- 住宅総合保険(住宅火災保険 + 水災、盗難)
- 地震保険(地震、噴火、津波を原因とする火災、損壊、埋没、流失)
- 地震保険は火災保険に付帯して契約
- 保険金額: 建物 5000 万円、家財 1000 万円を上限に主契約の保険金額の 30〜50%
- 地震保険の保険料は建物の構造と所在地で決まる
- 地震保険の 4 種の割引制度は重複して受けることはできない
- 地震保険は「全損」「半損」「一部損」の 3 段階
- 自動車保険
- 自賠責保険(自動車損害賠償責任保険)
- すべての自動車と原動機付自転車が加入
- 補償が対人賠償に限定
- 支払限度額: 被害者 1 人につき「死亡 3000 万円、傷害 120 万円」
- 任意の自動車保険(下記 7 つで構成)
- 対人賠償保険:
- 自損事故保険:
- 無保険車傷害保険:
- 対物賠償保険:
- 搭乗者傷害保険: 加害者からの損害賠償金等の金額によらない
- 車両保険: 地震、噴火、津波による被害は対象外
- 人身傷害補償保険: 過失割合にかかわらず補償
- 自賠責保険(自動車損害賠償責任保険)
- 傷害保険(急激かつ偶然な外来事故を補償)
- 普通傷害保険: 国外を含む日常生活での傷害が対象。地震が原因のケガは対象外。保険金は入院/通院に起因するものは非課税となる。死亡保険金は課税される。生命保険料控除の対象にならない。
- 所得補償保険: 傷害または疾病で働けなくなったときのため。保険金は非課税。
- 家族傷害保険: 家族全員を補償。生計を共にする別居の未婚の子も含む
- 国内旅行傷害保険: 国内旅行時、家を出て帰宅するまで。傷害保険はケガを補償するためのものなので、病気(虫垂炎など)は対象外
- 海外旅行傷害保険: 海外旅行時、家を出て帰宅するまで
- 年金払積立傷害保険から受け取る給付金は「雑所得」とみなされる
- 賠償責任保険(第三者に対する賠償責任が生じたときのため)
- 個人賠償責任保険
- 業務中の事故、同居親族に対する事故、預かり品の損壊、自動車による事故は対象外
- 生産物賠償責任保険/PL保険(法人向け): 商品による事故。食品も含む
- 施設所有者(管理者)賠償責任保険: 施設による事故
- 機械保険: 従業員の操作ミスによる損害が対象。火災は対象外
- 建設工事保険: クレーンによる破損など
- 受託者賠償責任保険: 他人から預かった物を紛失したり、傷つけたりしたとき
- 個人賠償責任保険
- 法人契約の保険について
- 保険金が保険会社から相手方に直接支払われた場合、経理処理の必要はない(法人が保険金を受け取っていないから)
- 下記の普通傷害保険の保険料は、給与として損金算入する
- 被保険者: 役員
- 保険金受取人: 法人
- 下記の普通傷害保険の保険料は、福利厚生費として損金算入する
- 被保険者: すべての従業員
- 保険金受取人: 法人
第三分野の保険(医療保険)
- 医療保険/特約
- 特約の場合は主契約である生命保険などに付加
- 生前給付保険/特約
- 特定疾病保障保険
- 特定疾病(ガン、脳卒中、急性心筋梗塞)になったとき特定疾病保険金(死亡保険金と同額)
- 死亡時は特定疾病以外でも死亡保険金は受け取れる
- 保険金受け取りは非課税
- リビング・ニーズ特約
- 余命が 6 ヵ月以内のとき死亡保険金を生前に受け取れる
- 特約付加のための保険料は無料
- 死亡保険金受け取りは非課税。ただし預金として残っていたら相続税
- 特定疾病保障保険
- 更新型の医療保険では、入院給付金を受け取った場合でも、保険期間満了時に契約更新可能。
- ガン保険には 3 カ月間(あるいは90日)の免責期間がある。
- ガン保険には入院給付金の支払日数に限度はない。
- 終身医療保険の疾病入院給付金には、1 入院当たりの支払日数、通算の支払日数ともに上限がある。
- 退院日の翌日から 180 日以内に同じ病気で入院すると、1 入院とカウントする。
生命保険の税金
- 死亡保険金にかかる税金の種類(契約者が自分のとき)
- 自分が死んだ時: 相続税
- 自分以外が死んで自分がもらうとき: 所得税&住民税
- 自分以外が死んで自分以外がもらうとき: 贈与税
- 満期保険金、解約返戻金にかかる税金の種類(契約者が自分のとき)
- 自分がもらうとき: 所得税&住民税
- 自分以外がもらうとき: 贈与税(自分から他のひとにお金が移る)
- 非課税のもの
- 入院給付金/通院給付金/手術給付金/特定疾病保険金/リビングニーズ特約保険金
- 生命保険料の所得控除
- H24.1 以降の契約は 3 種類の控除で合計最大 12 万円
- (新)生命保険料控除(遺族保障、変額個人年金保険): 4 万円
- 介護医療保険料控除(介護保障、医療保障): 4 万円
- (新)個人年金保険料控除(老後保障): 4 万円
- H24.1 より前の契約は 2 種類の控除
- (旧)生命保険料控除(遺族保障、介護保障、医療保障): 5 万円
- (旧)個人年金保険料控除(老後保障): 5 万円
- 新旧の契約の両方の控除を受ける場合は 4 万円の方が適用される
- 新制度では傷害特約に係る保険料は生命保険料控除の対象外
- 生命保険の契約者を変更したときには相続税は発生しない。保険金や解約返戻金を受け取った時に相続税が発生する
- 個人年金保険料控除を受けるには、個人年金保険料税制適格特約を付加する必要がある
- 個人年金保険料控除の受取人は、契約者本人か配偶者の必要がある
- H24.1 以降の契約は 3 種類の控除で合計最大 12 万円
- 個人年金の税金
- 契約者と受取人がことなる場合: 年金受け取り開始時に贈与税
- 年金受け取りごとに雑所得として所得税&住民税
法人の保険の税金
- 保険料の経理処理
- 貯蓄性のない保険(定期保険、医療保険): 損金算入
- 貯蓄性のある保険(養老保険、終身保険): 資産計上
- ハーフタックス・プラン: 下記条件を満たすとき 1/2 を資産計上、1/2 を損金算入できる養老保険の契約形態
- 契約者=法人
- 被保険者=役員・従業員
- 満期保険金受取人=法人
- 死亡保険金受取人=役員・従業員の遺族
損害保険の税金
- 地震保険料控除: 最大 5 万円(所得控除)
- 損害保険料控除は H19 から廃止
- 法人が支払う損害保険料は損金算入
- 個人が受け取る損害保険金は非課税
- 法人が受け取る損害保険金は益金算入