子供の教育費は、1 人につき 1000 万円~ 2500 万円程度かかると言われており、人生の 3 大資金のひとつとされています。 子供の成長を止めることはできないので、決まった時期に必ずある程度の資金が必要になってきます。 教育費が必要になる時期までに、十分な資金を貯蓄できていればよいのですが、資金的に余裕がない場合は、借り入れによって教育費を賄うことになります。 国や民間企業によって、教育資金を貯蓄するための保険や、借り入れのため仕組みが用意されていますので、ここではその全体像をとらえておきましょう。
- 教育費のための貯蓄: こども保険、学資保険、一般財形貯蓄
- 教育費のための借入: 奨学金、教育ローン
貯蓄による教育資金の準備
こども保険、学資保険
教育資金を準備するときには、生命保険会社や損害保険会社などが販売している、こども保険や学資保険を利用することができます。 これらの商品は、貯蓄機能と保障機能を兼ね備えた商品といえます。
- 貯蓄機能
- 一般的に、入学時に祝金をもらえたり、満期時に保険金がもらえるようになっています。この仕組みのおかげで、子供の成長に合わせて、計画的に貯蓄していくことができます。
- 保障機能
- 親が死亡したり、高度障害になった場合は、以後の保険料を支払わなくても、全額支払った場合と同様のサービスを受けられます。例えば、入学祝金や、満期保険金などを受け取ることができます。また、子供に対する医療保障を持つものもあります。親が死亡した場合に、育英年金として保険期間終了まで年金が支払われるものもあります。
保険商品によって、貯蓄機能と保障機能のどちらに重みをおいているかは異なってきます。 例えば、保障機能を重視しているようなものは、貯蓄性が低くなり、満期保険金の額は少なるものもあります。 家庭の事情などを考慮して、どのような点を重視するかを考えて選択しましょう。
一般財形貯蓄
財形貯蓄とは、勤務先の企業が金融機関などと提携して、給与天引(ボーナス含む)で貯蓄を行ってくれる仕組みです。 役員などは財形貯蓄制度を使用することはできず、勤務先の企業が財形貯蓄制度を提供していない場合も使用できません。 財形貯蓄には、用途の決まった財形住宅貯蓄、財形年金貯蓄と、用途の自由な一般財形貯蓄があります。 教育費の貯蓄のために使用できるのは、使用用途の制限されていない一般財形貯蓄の方で、こちらは税金上の優遇措置などはありません(財形住宅貯蓄と財形年金貯蓄は、それぞれの元金と利息を合わせて、550 万円までが非課税になります)。
大きな利点のなさそうな貯蓄制度ですが、それぞれの財形貯蓄の合計額が 50 万円以上あると、住宅費用のための財形住宅融資を受けられるようなる、といった細かい利点があります(財形住宅融資の融資額は、貯蓄額の 10 倍まで)。 将来のために必要な資金を計画的に、しかも手をつけにくい状態で確保していけるという点で、安心感を得ることができます。
- 一般財形貯蓄についてのまとめ
- 年齢制限: なし
- 用途制限: なし
- 引き出し可能になるまでの最低期間: 3 年間
- 税の優遇措置: なし
- 1 人で複数の契約が可能
参考: 財形貯蓄制度|厚生労働省
借り入れによる教育資金の確保
奨学金制度
奨学金制度は、在学期間中にお金を借りて、卒業後に返済していくものです。 奨学金制度には、自治体や学校などが運用しているものもありますが、代表的なのは、独立行政法人日本学生支援機構による奨学金制度です。
奨学金は経済的に就学が困難な学生を救うための制度であるため、利用のためには親の所得金額(年収)による制限があります。
成績の良し悪しや親の年収により第一種奨学金、第二種種奨学金に分けられます。 第一種奨学金には、より厳しい選考基準が設定されていますが、無利息で借りることができます。第二種奨学金には利息がかかりますが、在学期間中は無利息です。
奨学金の種類 | 利息の有無 | 要件 |
---|---|---|
第一種奨学金 | 無利息 | 成績と年収に関して厳しい基準 |
第二種奨学金 | 利息あり(在学期間は無利息) | 第一種よりは基準は緩い |
教育ローン
教育ローンは、教育費用として使うことを目的としたローンで、国(日本政策金融公庫)や一般の金融機関が提供しています。 住宅ローンと同様、使用用途が制限されているものの、比較的低い金利で借り入れを行うことができることが特徴的です。
教育一般貸付 (日本政策金融公庫)
教育一般貸付は、日本政策金融公庫が提供している公的な教育ローンです。 成績に関する要件はなく、低い固定金利で借り入れることができますが、一定の所得制限があります。
- 成績要件: なし
- 年収制限: あり(子供の数によって異なる)
- 金利: 固定金利
- 限度額: 子供 1 人につき 350 万円まで (H26.4〜)。海外留学する場合は 450 万円まで。
- 返済: 15 年以内
日本政策金融公庫の教育一般貸付と、奨学金は重複して利用することが可能です。