税の分類
- 国税と地方税
- 国税: 所得税、法人税、相続税、贈与税、消費税
- 地方税: 住民税、事業税、不動産取得税、固定資産税
- 税の決定方式
- 申告納税方式: 自分で計算して申告(所得税/法人税/相続税)
- 賦課課税方式: 国・地方公共団体が決定(個人住民税/個人事業税/固定資産税)
所得税の基本
- 所得税の計算手順: (1) 所得計算 → (2) 損益通算 → (3) 所得控除 → (4) 税率を掛ける → (5) 税額控除
- 所得税は 7 段階の超過累進税率 で計算(H27 以降は 4000 万円超部分は 45%)
- 非課税所得
- 宝くじの当選金
- 損害賠償金、慰謝料
- 遺族の受ける恩給及び年金
- 制服などの現物給与
- 10 万円までの通勤手当
- 出張の旅費
- 所得税は原則は総合課税、一部は分離課税
- 総合課税: 配当所得/不動産所得/事業所得/給与所得/譲渡所得(土地建物や株式以外)(長期は1/2)/一時所得(1/2)/雑所得
- 分離課税: 利子所得/退職所得/山林所得/譲渡所得(土地建物や株式)
- 所得税の計算期間
- 原則は 1月1日 ~ 12月31日
- 「法人」は任意に定めた事業年度を計算期間にできる
- 「個人事業主」は任意に定めた事業年度を計算期間にできない
- 復興特別所得税: 所得税額に 2.1% を乗じる。
(1) 10 種類の所得をそれぞれ計算
- 利子所得(源泉分離課税)
- 預貯金の利子/公社債の利子/公社債投資信託の収益分配
- 利子所得 = 収入(必要経費は差し引かない)
- H28 以降、特定公社債の利子は申告分離課税
- 配当所得
- 法人からの配当/投資信託の収益分配(公社債投資信託を除く)
- 配当所得 = 収入 - 借入金の利子
- 総合課税だが配当時に源泉徴収される
- 上場株式の配当は申告分離課税を選択可
- 不動産所得
- 不動産/借地権/船舶または航空機の貸付け
- 賃貸料、更新料、礼金、敷金すべて対象(もちろん返還分の金額は除く)
- 不動産所得 = 収入 - 経費
- 食事を供する下宿による収入は、事業所得 or 雑所得とみなされる
- 従業員宿舎の家賃による収入は、事業所得とみなされる
- 有料駐車場による収入は、事業所得 or 雑所得とみなされる
- 事業所得
- 対価を得て継続的に行われる事業
- 事業所得 = 収入 - 経費
- 実際に代金の受け取りがなくても、商品を売った年の収入として扱う
- (ひっかけ)不動産の貸付けを事業的な規模で行ってもあくまで不動産所得
- 生計を一にする配偶者や親族に払う利子は経費とならない
- 減価償却費の計算
- 定額法(法定の償却方法)(H10.4.1 以降は建物の償却方法は定額法のみ)
- 定率法
- 給与所得
- 給与所得 = 収入 - 給与所得控除額( - 特定支出控除)
- 総合課税だが、給与支払い時に源泉徴収される
- 特定支出控除: 通勤、転勤による転居の支出が一定額を超えた場合は確定申告
- 譲渡所得(土地建物と株式は分離課税)
- 譲渡所得 = 収入 - 取得費 - 譲渡費用 - 特別控除(50 万円)
- 短期譲渡所得: 所有期間 5 年以下
- 長期譲渡所得: 所有期間 5 年を超える
- 50 万円の特別控除は、短期譲渡所得 → 長期譲渡所得の順で控除
- 土地建物や株式以外は総合課税だが、長期譲渡所得は 1/2 して総合課税(短期はそのまま総合課税)
- 一時所得
- 懸賞や福引/競馬、競輪、競艇/生命保険の一時金/損害保険の満期返戻金
- 一時所得 = 収入 - 取得費 - 特別控除(50 万円)
- 一時所得は 1/2 して総合課税
- 雑所得
- 公的年金/作家以外の人の印税/講演料
- 雑所得 = 収入 - 経費(公的年金の場合は控除額)
- 公的年金等控除額は年齢、年金収入金額による
- 退職所得(分離課税)
- 退職所得 = (収入 - 控除額) / 2
- 退職所得控除額
- 最低 80 万円
- 20 年以下: 40 万 x 年数
- 20 年超: 70 万 x (年数 - 20) + 800 万
- 365 日中 1 日でも働いていれば 1 年とカウント
- 申告書を提出しないとまるまる 20% 源泉徴収されるので確定申告で清算
- 山林所得(分離課税)
- 山林を取得して 5 年以内に伐採または譲渡すると事業所得か雑所得になる
- 山林所得 = 収入 - 経費 - 特別控除(50 万円)
(2) 損益通算
- 損益通算の対象は不動産所得/事業所得/山林所得/譲渡所得
- 別荘など通常の生活に必要ないものは損益通算できない
- 土地取得のための借入金の利子は損益通算できない
- 土地建物や株式等の譲渡所得の損益通算はそれぞれの損益内のみ
- 上場株式の配当所得は申告分離課税を選択すれば、上場株式の譲渡損失と損益通算できる
(3) 14 種類の所得控除
- 基礎控除: 38 万円は無条件で所得控除
- 雑損控除: 災害や盗難で資産に損害が出た場合(一定)
- 医療費控除: 治療費で 10 万円を超える部分
- 風邪薬は対象だが、ビタミン剤は対象外
- 人間ドックや健康診断は治療費ではないので対象外だが、その結果によって治療を行った場合は、控除の対象となる
- 社会保険料控除: 自己または生計を一にする配偶者やその他の親族の社会保険料(全額)
- 健康保険、厚生年金保険、厚生年金保険などが対象
- 小規模企業共済等掛金控除: 小規模企業共済や確定拠出年金の掛金(全額)
- 生命保険料控除: 限度額 12 万円
- 生命保険料、介護医療保険料、個人年金保険料などが対象
- 地震保険料控除: 限度額 5 万円
- 寄附金控除: 特定寄付金を支出した場合
- 障害者控除: 本人、控除対象配偶者、扶養親族が一定の障害者の場合
- 寡婦(寡夫)控除: 一定の要件を満たす寡婦(寡夫)
- 勤労学生控除: 一定の勤労学生
- 配偶者控除: 12 月 31 日に控除対象配偶者がいる場合
- 控除対象配偶者の条件
- 納税者と生計を一にする配偶者
- 合計所得が 38 万円以下
- 青色申告者の事業専従者として一度も給与の支払いを受けていない
- 白色申告者の事業専従者でない
- 控除額は 38 万円(70 歳以上の老人は 48 万円)
- 控除対象配偶者の条件
- 配偶者特別控除: 控除対象配偶者の合計所得が 38 万円超 76 万円未満
- 控除を受ける人の年収が 1000 万円以下であることが条件
- 控除額は最高 38 万円
- 扶養控除: 12 月 31 日に控除対象扶養親族がいる場合
- 控除対象扶養親族の条件
- 生計を一にする 16 歳以上の扶養親族
- 合計所得が 38 万円以下
- 控除額は 38 万円。19 歳以上 23 歳未満(特定扶養親族)は 63 万円
- 控除対象扶養親族の条件
(4) 税率を掛ける
ここは単純なので省略。
(5) 税額控除
- 配当控除: 総合課税を選択した配当所得のみ
- 配当控除の対象にならないもの
- 外国法人から受け取る配当金
- 確定申告不要制度を選択したもの
- 申告分離課税を選択した上場株式等の配当(H21.1 以降)
- 控除額
- 課税総所得 1000 万円以下の部分: 10 %
- 課税総所得 1000 万円超の部分: 5 %
- 配当控除の対象にならないもの
- 住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)
- 住宅ローンの年末残高の一定割合
- 条件
- 取得後 6 カ月以内に居住開始し、12 月 31 日まで引き続き住んでいること
- 合計所得 3000 万円以下
- 床面積 50 ㎡以上で、1/2 以上が居住用
- 10 年以上のローン
- 控除額は年末残高 x 1%、控除期間は 10 年間
- H25.1〜H25.3: 年末残高限度額: 2000 万円
- H25.4〜H29.12: 年末残高限度額: 4000 万円
- 給与所得者は一度確定申告すれば、翌年からは年末調整で適用可
所得税の申告
- 確定申告
- 2月16日 から 3月15日 の間に行う
- 給与所得者でも下記の人は確定申告が必要
- 収入金額が 2000 万円を超える
- 給与所得及び退職所得以外の所得が 20 万円を超える(主たる給与以外の給与所得は計上する)