大正時代に生まれた相場師、林輝太郎氏が率いる林輝太郎投資研究所(現在は林投資研究所)で、彼が生徒たちに投資の手法をどのように指導していたかについて説明した本です。 書かれていることをざっとまとめると、必要最小限のプロの道具(場帳、玉帳、グラフ、勉強ノート)を使って、理論だけじゃなくて実際にやってみることが大事という内容です。 30 年前の書籍ですが、「プロの取引は地味」「実践が大事」「ストップ・マイナス」という考え方は今でも変わらないですね。
手書きの場帳をものすごく推しているんですが、このやり方は今でも必要な作業なのでしょうか? プロの投資家の方、誰か教えてください(←林氏が存命だったら一番怒られる考え方)。
下記メモメモ。
実践せよ
- 研究ではなく習得しなさい。
- 水の中でしか泳ぎを習得できないのと同じで、机上の研究では利益を得るやり方は身につかない。
- 相場というものは理性、つまり理論的分析などで動くものではないので、理論的勉強をしているのは根本的に間違っている。
- 技術(技法)というものは、人間の、それも個人的なことであるため、職人と同じで経験を積み重ねるしかない。
- 上達するには自分でやれ。
よりどころを持つ
- 独学にはよりどころがなく、それに基づいた実践がないため上達しない。 例えば、稼働や剣術でいうところの◯◯流のようなものがないのでフラフラしてしまう。
- 「技術の上達」と「よりどころを持つ」ことは、にわとりと卵であり、どっちが先ということはない。
- 主義主張を持ち → それに基づく方法を持ち → 実践する
- 実践できない主義主張を持ってはいけない。
道具が重要
- 相場も料理と同じで、プロ仕様の道具を使い、見よう見まねに行えば、なんとか売買らしきものができる。
ストップ・マイナス思考
- 「マイナス」でなければ「ゼロかプラス」である。だからマイナスを止めればよい。
- 「やるべきこと」を定義するのは難しいが、「やってはいけないこと」はわかりやすい。
- 「禁止事項」をやらないこと、「注意事項」を守ること成功の近道である。
プロの売買は地味である
- 株や商品の売買では、派手なことをやろうとするよりも、地味なことを守るべきだ。
- 複合させたグラフは、描くことも見ることも禁止。
- 一般投資家の悪いところは、いろいろな方式をやる、ひとつの方式の中に別な方式を併用する、というところである。
- 重要なのは広さではなく、水準の高さである。
商品とは売るものである
- 投資家が一段の進歩をするためには、「売りというもの」の理解が必須である。
- 多くの投資家が買いに偏る → 「売り」について学ばなければいけない。
- 自分の相場観を捨てるために、一年間は(順ザヤの先物を)新甫毎に売る。
- どうしても「理想買い」の立場に片寄りがちだった自分の相場人生に「現実売り」の新しい風を入れる。
売買活動の方式
- 銘柄選別に主眼を置く方法 … 選ぶまでが勝負
- 銘柄を限定する方法 … 売買技法が勝負
- こちらのやり方に切り替えると、初心者にありがちな、「手持ちが塩漬け株だらけ」という状況から抜け出せる。
- 分割売買(仕掛けと手仕舞い)の技術を磨く必要がある。
自分自身を厳しい環境の中に置く
- プロはローソク足ではなく折れ線グラフを使う。
- ローソク足は変化(許容範囲)をやさしく見せてしまう。平均足のように価格をアレンジしたものはもっと顕著である。