知る人ぞ知る、エリート・トレーダー育成塾「タートルズ」において最優秀の成績をおさめたカーティス・フェイスによる執筆です。
- 成功に必要なのはトレーディングシステムではなく、トレーダーのその システムを執行する能力 である。
- 成果の差をもたらすのは、取引を行う際の心理なのだ。
- 一流トレーダーの人生観を身につければ、人生の喜びはいや増し、経験の幅も広がり、後悔することも少なくなる。
- タートル結成のきっかけは論争だった。デニスには、誰でも訓練すれば勝てるトレーダーになれるという信念があり、エックハートには、教育ではなく素質だという信念があった。
- タートルに共通して見られる特徴は、ゲーム理論 と ゲーム戦略 の知識があること。確率論 に造詣が深いことだ。
- 行動ファイナンス によれば、人は大きなストレスを受けると、めったに完璧で合理的な決断を下せなくなるという。
- 不合理さ
- 勝つトレーダー は、ほかのトレーダーの一貫して不合理な行動パターンを読み、それを出し抜くことで金儲けをする。
- タートル流トレーディング法は、今もこれからもうまく機能する。というのは、このトレーディング法が基礎にする市場の動きは、すべての人間が心に持ち、それゆえに繰り返し発言する体系的な不合理さ から生まれるものだからだ。
- 認知のゆがみはトレーダーに、計り知れない影響を及ぼす。認知のゆがみに惑わされなければ、ほぼすべての“ゆがみ”が金儲けのチャンスにつながる。
- トレンドフォロー
- トレンドフォロー派は、市場が過去の最高値、あるいは最安値をつけたときに市場に参入し、その価格に反発する方向への値動きが数週間続いたときに退出する。
- しかし、いくつかの理由から、誰にでも気軽に利用できる戦略とは言い難い。 (理由1)大きなトレンドはめったに起こらないので、負けトレードになる確率の方が高い。 (理由2)トレンドがないときばかりか、トレンドが逆転したときにも損失が出る。 (理由3)リスクの上限を適切な水準に設定しても、損切りの値幅がかなり大きくなる。乏しい資金でトレンドフォロー戦略を使うと、破産の確率が高くなる。
- タートルはけっして、市場の動向を 予測することをしない。そのかわり、市場がある特定の状態にあるという 兆候を探す。市場が今どいう動きをしているかを示す兆候に目を向ける。
- トレードを成功に導く原則は次の 4 つに要約される。優位性(エッジ)のある取引、リスク管理、守備一貫性、シンプルさ。
- リッチとビル(講座を受け持った 2 人)
- リッチもビルも勘には頼らなかった。勘のかわりに、実験と調査にもとづいた手法を使った。 事例証拠は用いず、もっぱらコンピュータによる分析に頼った。
- リッチとビルにはまず、ゲーム理論と確率論の基本を教わった。
- どれくらい取引するかを決めるとき、破産の確率 はトレーダーがまっ先に考慮すべき問題となる。
- 一番大事なのは、賭け金の額を大きくすると、破産の確率が急に増大する ことだ。 システムによっては、賭け金を倍にするだけで、破産確率は 3 〜 5 倍になってしまう。
- 資金管理
- 資金管理とは、収益率を最大限に高める一方で、破産の確率を許容レベルにとどめる技術 のことだ。
- 1 つ目のアプローチ: 持ち高(ポジション)を複数の小さな単位(ユニット)に分散する方法。
- 2 つ目のアプローチ: それぞれの市場に適したポジション・サイズを算出すること。 この手法は、金額ベースでの日々の市場の上下動を基準にしている。 リッチとビルは、各商品の値動きが金額ベースでほぼ同額になるようにそれぞれの契約枚数を決定した。 この変動性尺度 (N) は、今では ATR (Average True Range) と呼ばれているもの。
- ポジションサイズを「変動性で調整する」という概念は、書籍 『魔術師たちの心理学』 が詳しい。
- 優位性(エッジ)
- 成り行き注文より 指し値注文 を行うべし。わずかな違いも、積もり積もれば巨額の損失になる。
- 結果偏向を避ける。すなわち個々のトレードの結果は無視して、期待値だけに意識を集中する。 ▽決断を下した時点で良し悪しは決まっているということ。
- 「正の期待値」を持つ取引は、長期的には必ず成功すると信じること。 一時的な損失はビジネス上の経費であり誤りではない! 長引く損失期間の後には、必ず良好な取引期間が続く。
- リッチとビルの 期待値とは「取引ごとの儲けの平均額/リスクにさらした平均額」。例えば、期待値が 0.2 であれば、1 ドルがやがて 0.2 ドルの利益を生むということ。
- タートルのブレイクアウト手法
- タートルが用いたのはブレイクアウトで、手法を一般に広めたリチャード・ドンチアンの名を取って、「ドンチアン・チャネル」とも呼ばれる。
- 過去の特定期間つけてきた価格レベルをブレイクアウトしたら買う。
- システム1(中期): 20 日(4 週)の高値と安値を観察してブレイクアウトを判断する。
- システム2(長期): 60 日(12 週)の高値と安値を観察してブレイクアウトを判断する。
- 損切りは 2N (ATR x 2) に置く。タートルの場合は、それがちょうど 口座額の 2% になるようにポジションを取る。
- わかっているのはトレンドは生まれるということ、そして人間の感情と認知のしかたが変わらないかぎり、値動きの特徴もかわらないということだ。
- 直近偏向を避ける 能力を持つこと、それがトレーディングで成功する秘訣だ。 市場のトレーダーのほとんどがこの傾向を示す。
- 一貫性こそが鍵だ。あらゆる取引を厳正に行うこと。さもなければ成功しない。