まくまく投資ノート
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所得税額が計算できたら、次は税額控除を行って、申告納税額を求めます。

税額控除とは

所得税額 ー 税額控除 = 申告納税額

税率を掛けて求めた所得税額からは、さらに税額控除が適用されます。 「所得」控除は税率を掛ける前の所得をマイナスするものですが、こちらの「税額」控除は所得税額から直接マイナスするものなので、最終的に納める税金に対して大きく効いてきます。 税額控除には下記のようなものがあります。

税額控除の種類控除額
1. 配当控除10%、5%
2. 住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)年末ローン残高の 1%
3. 外国税控除外国で納めた所得税相当
4. 寄付金控除(所得控除の寄付金控除と混同しないように注意)

(1)配当控除

配当所得の納税において、総合課税による納税を選択した場合に限り、配当控除による税額控除を受けることができます。 上場株式や非上場株式などの配当に対して適用できますが、J-REAT は配当控除の対象外です。

控除額は、配当所得の金額の 10% ですが、課税総所得が 1,000 万円を超える場合は、その超える部分の配当所得に対しては 5% となります。

配当所得の 3 種類の納税方法

配当に関する納税方法の比較
確定申告なし確定申告あり
源泉分離課税総合課税申告分離課税
税率約20%約20%累進税率
配当控除××
株式との損益通算××
借入金利子の控除×
扶養控除等合計所得に合算しない合計所得に合算する合計所得に合算する

申告不要制度(源泉分離課税)

配当金に対しては、特に何もしていなくても、受け取り前に下記の金額が源泉徴収されています。 上場株式と、未上場株式の場合で税の内訳は違いますが、どちらも約 20% の税金を支払います。

  • 上場株式の場合: 20.315%(所得税 15%、復興特別所得税 0.315%、住民税 5%)
  • 未上場株式の場合: 20.42%(所得税 20%、復興特別所得税 0.42%)

上場株式の場合は、その配当所得の金額に関わらず、申告不要制度を選択することができます。 この場合は、上記の源泉徴収の約 20% だけで配当所得に対する納税を終えることができます。

総合課税

配当所得に関して確定申告することで、総合課税、あるいは申告分離課税による納税を選択することができます。

総合課税として確定申告する場合は、配当所得は総所得金額に組み込まれ、そこに累進税率がかかってきます。 このままでは、上記のように税金が源泉徴収されているのにもかかわらず、さらに総合所得として合算された分の配当所得に対しても課税(累進課税)されることになってしまいます。 このような税負担を緩和するため、確定申告で総合課税を選択した場合、配当控除によって、配当所得に対してかかる税率を下げることができるようになっています。 ただし、外国株式の配当や J-REAT などによる配当は、配当控除の対象となりません

申告分離課税

一方、確定申告で申告分離課税を選択した場合の税率は、源泉分離課税の場合と同様に約 20% となります(源泉分離課税された 20% がそのまま適用される)。 一律で 20% なので、配当控除による減税措置はありません。

申告分離課税で確定申告するメリットとして、株式や投資信託(株式)の譲渡損失との損益通算ができるという点があります。 前年に株式の譲渡損失があるような場合は、配当所得を申告分離課税として確定申告するとお得です。

そもそも総所得が多い場合(累進税率 20% 超の場合)は、総合課税にしてしまうと累進課税によって多くの税金を取られますから、一律 20% の税金で済む申告分離課税を選択した方が有利です。

確定申告には配当金の支払通知書が必要なので、なくさないように保管しておきましょう。

(2)住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)

住宅ローンを組んで、住宅の購入や改築を行った場合は、最大 10 年間の住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)による税額控除を受けることができます。

住宅ローン控除の条件

住宅ローン控除を受けるには、様々な条件があります。

  • 購入者の条件
    • 購入から 6 ヶ月以内に入居
    • 控除を受ける年の年末まで住み続けている(単身赴任の場合は、家族が住んでいれば OK)
    • 返済期間が 10 年以上のローン
    • 税額控除を受ける年の所得が 3000 万円以下
    • 前後 2 年で居住用財産の譲渡の特例を受けていない
  • 住宅の条件
    • 新築中古住宅の場合は、床面積が 50 ㎡以上で、1/2 以上が居住用
    • 増改築の場合は、改築後の床面積が 50 ㎡以上で、1/2 以上が居住用、かつ、工事費用が 100 万円を超える
    • 中古住宅の場合は、築後 20 年以内

住宅ローン控除の税額控除額

住宅ローンの税額控除額は、年末のローン残高の 1% です。 ただし、計算に入れられるローン残高は 4,000 万円までなので、1 年あたりの最大控除額は 40 万円ということになります。 最大控除額での控除を 10 年間続ければ、合計で 400 万円分(40 x 10) の税額控除を受けられることになりますが、各年の控除額は年末のローン残高を元に計算するため、現実的にはそれだけの控除を受けることはほとんどないということに注意してください。

所得税から引ききれなかった住宅ローン控除がある場合は、翌年分の住民税から差し引くことができます。ただし、前年の課税所得の 7% が限度です。

住宅ローン控除を申請するには確定申告が必要ですが、2 年目からは年末調整で税額控除できるようになるため、初年度以外は確定申告が不要になります。

(3)外国税額控除

外国で発生した所得に対して、外国での所得税に相当する納税を行った場合は、一定の税額控除を受けられます。外国と日本で二重課税されないようにするための施策です。

(4)寄付金控除(税額控除として)

寄付金控除はもともと所得控除としてのものが用意されていましたが、平成 23 年からは税額控除としての寄付金控除を選択することができるようになりました。 どちらか有利になる方を選択できます。

税額控除としての寄付金控除の額は、(年間寄付金額ー2000円)x40% で計算します。 ただし、年間寄付金額の上限は、総所得金額の 40% までです。

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