企業が株主に対して配当指針を示すために、配当性向や、自己資本配当率(純資産配当率)(DOE: Dividend on Equity) などが使用されます。 日本ではまだ配当性向の方がよく使用されているようですが、欧米では DOE が一般的な投資指標として使用されています。 企業の配当指針として、「配当性向50%以上、DOE3%以上を方針とする」というように、合わせて提示されることもあります。
配当性向(= 配当総額/当期利益)
当期利益から配当としてどれだけ株主に還元するかの割合を示します。 当期利益をベースとしているため、「配当性向を30%以上とする」という方針を出していたとしても、当期利益が少なければ配当金は少なくなります。 配当性向が高いからといって、配当金がたくさんもらえるとは限らないということです。
DOE(= 配当総額/自己資本)
DOE は自己資本に対する配当の割合を示しています。 DOE を2%にすると公約した場合は、自己資本の2%に当たる金額を配当として株主に還元しますよ、と言っていることになります。 DOE は、配当性向とは異なり、当期利益をベースとして計算する値ではないため、当期利益の増減によって大きく左右されないという特徴があります。
分母の自己資本の額は、一般的に期初と期末の自己資本を平均したものが使われます。
配当性向と DOE の関係
DOE = 配当総額/自己資本
= (配当総額/当期利益)x(当期利益/自己資本)
= 配当性向 x ROE
と変換できます。 つまり、DOE を高い値に維持するためには、配当性向や ROE を高い水準で維持する必要があるということになります。 配当性向はインカムゲインを目指す投資家にとって注目され、企業の収益性を示す ROE はキャピタルゲインを目指す投資家にとって注目されています。 どちらの要素も含んでいる DOE は、投資家として注目すべき指標のひとつと言えます。